[72金→16歩]

まずは下手1筋強行突破作戦から紹介する。

通称"ロケット戦法"だ。

手の一致率がかなり高く一直線の変化になりやすいので、まずはこの作戦から紹介したい。

まえがきでも触れているが、筆者は下手に対して戦法というものを一切教えない。下手が自ら方針を立てて、戦法を考えてくるのだ。

すると、不思議とこのロケット戦法を思いつく下手が多いようで、かなりの実戦数がある。

 

[32金→17香]

最も統計的に多いのがこの17香だ。

手の順番からいうと15歩が先であるのは言うまでもないが、かなりの下手が先に17香と上がる。

この場合、上手は悪用して1筋を全放棄して指す指し方もあるが、長くなるので省略する。

先に17香と指しても、15歩と突かなければ香は使えないことを伝え、どちらを先に動かすべきか下手と一緒に確認したい。

 

[32金→15歩]

しっかりと調教・・・もとい、指導したところで本題に戻る。

1筋突破が目的である下手はぐいぐいと歩を進めてくる。

 

 

 

 

[24歩→14歩→同歩→同香]

下手の読みは23金→18飛車であろうが、

このような手は上手には通用しない。

 

 

 

 

 

★[17歩]

17歩である。

これで18飛車とまわれなくなった。

同桂には23金と上がり、香車を狙いながら、飛車の動きを牽制する。

下手の最善手は13香成であるが、13香成と指してくる下手はほとんど居ない。

かなり慌てるのか、19歩や18歩、12香成といった手を指してしまう事が多く、これらの展開は23金と上がれば飛車が使えず、上手の勝ちパターン。

仮に最善の13香成を指してきたとして、簡単に上手の狙い筋だけお伝えすると、飛車が浮いた瞬間に18歩成と成れるので、飛車を成られてもいい構えにしておき、18歩成を実現させて勝つ。

 

唯一実戦例があるのが左の局面で、19歩と受けてから26歩と伸ばしてきたが、44歩~34金が間に合ってしまい、ここまで来ると下手のライフはほぼゼロ。まともな指し手はこなかった。

 

 

 

 

 

—ちょっと戻って—

24歩と突いた局面に戻る。

 

 

 

 

 

 

[17香]

すぐに14歩と突いては失敗すると悟った下手は、17香~18飛の数の攻めを目指してくる。

 

 

 

 

 

[23金→18飛]

飛車の成りこみを防ぐ構想は?

 

 

 

 

 

[25歩→14歩→同歩→同香→24金]

ここまでは当然の進行。

徹底的に飛車を押さえこみ、ライフを減らしていく。

 

 

 

 

[13香成]

下手の最善手は13香成である。

上手が15歩と受けなければ、14成香→34金→23成香と活用する手がしっかりと指せるかどうか、感想戦でしっかり確認すること。

 

 

 

 

言うまでもないが、ここで11香成と指して、12飛成を目指してくるような下手は、まだ八枚落ちの手合いではない。(上手、*負けられない戦い)

駒の効率が良いのは何段目なのか?一段目、二段目、三段目を比較して見せ、どこに成るのが最も効率が良いのか、下手自ら答えを出せるように問いたい。

 

 

 

[13香成→15歩]

上手は15歩と止め、飛車先をしっかり封じる。

下手は手が広い局面。

実戦例で言うと、28銀~17銀と数を足してくる順、16歩と合わせて飛車を横に使おうとする順が指されているが、どれもはっきり言って良い構想とは言えない。

いずれの順も、16歩と合わした瞬間に26歩と一本突き捨てを入れ、飛車を横に使う順を封じてしまえば、だいたいの下手は1筋に渋滞を起こし、その間に上手の右金で右辺を制圧してしまえることが多い。

まず、"成った成香をどうするか"というのを最優先で考えるように指導を行うことが大切だろう。

 

なお、実戦例は少ないが、ここで12歩と指し、11歩成~23と金を間に合わせ、と金で24の金を狙う構想を見せた生徒がいた。

一見、遅いように見える手だが、23のと金が相当強力で、これもかなり有力な手順。

が、実戦例は少ないので省略する。

 

 

 


 

[76歩]

大抵の下手は76歩と角道を開けてくる。

上手はどう指すべきか?

 

 

 

 

 

★[44歩]

八枚落ちにおいて、必修の手筋である。

この44歩を指せないと、上手の手がかなり制限されてしまう。具体例を示す。

 

 

 

 

上手はもちろん33角成を阻止しなくてはならないが、単純な42玉という手だとどうなるのか。

 

 

 

 

 

 

なぜか、かなりの下手が55角と指してくる。

下手は「この角をどこに動こう」という思考モードになっており、55角という手に辿り着くようだ。

そして思い出したかのように46角と引いてくる。

 

 

 

[44歩→46角]

24の金を狙われるのだ。

以下、竜やら馬やらが大活躍すること疑いなしの局面となり、大変な目にあう。

では先に44歩と突くとどうなるのか比較しよう。

 

 

 

[44歩]

44歩の意味は、43にスムーズに玉を上がれるようにすることにある。

角で取れる位置に歩を突くことで、角で歩が取れるという明確な意思が生まれる。

要するにエサである。

 

 

 

[44同角→42玉]

玉の上が開けている。

 

 

 

 

 

 

[66角→84歩]

66角と引き、93角成を見せてくるが、当然の84歩。

 

 

 

 

 

[56歩→43玉]

下手の真の狙いは56歩から57角と引いて24の金をどかせることにある。

この構想は八枚落ちレベルで普通に指してくる手であり、上手もそれに応じなければならない。

 

 

 

★[57角→34玉]

この局面をロケット戦法に対する基本図とする。

ここまでの実戦例は相当数あり、かなり多くの生徒が自力で指せている局面だ。

ここから上手は右金を活用し、相手角を制圧する作戦へと切り替える。

ここからの指し手や方針は、第二章を参照されたい。(加筆中)

 

—ちょっと寄り道—

[44歩→55角]

44歩とかなりの実戦を重ねたころ、44の歩を取らずに55角と指してきた下手がいた。

この域に達する頃には下手も相当力をつけており、この手を導き出せるようになっているレベルが八枚落ちの卒業レベルであると言える。

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